反省

1年半、休職している患者さんがいます。うつ病との診断で治療していましたが、うつ病はそれ程ひどくないのになぜ復職できないか分かりませんでした。診察しながら薬のことばかり考えていました。薬による治療も行き詰ったところ、本人の言葉に思いが止まりました。彼が悩んでいることに焦点があてられなかったことです。人が聞けば何でもないことですが、彼はそのことで悩んでいたのです。その時、医師というより人間として、知り合いとして、友達として何と言って励ますことが出来るだろうか。「大したことないよ、気にしなくてもいいよ」と言っても、無駄な言葉です。彼にとってはそのことが悩みです。他人が聞いていて些細なことでも本人には深刻なことなのです。どうすればよいか悩みます。

2016年05月20日