強迫神経症の治療ー曝露反応妨害法

 曝露という名前を聞くと恐ろしく感じますが強迫性障害、パニック障害、社交不安障害などで使われる行動療法です。この治療の理屈は下の図のようになります。 たとえば、外出する時、鍵をかけ忘れたのではないかという考えが浮かぶことは誰でも経験するするでしょう。「まあ大丈夫だろう」と思い、そのまま外出する場合もあれば、 「大丈夫だろうか?」と思い、再度かぎのかけ忘れを再確認する場合もあります。普通、再確認しても一度確認すれば「大丈夫」とそのまま出かけることになります。 しかし、再確認しても「本当に大丈夫だろうか?かけ忘れたのではないか?」という思いが頭から離れなくなることがあります。これを強迫観念と言います。考え(観念)が強く迫ることから 強迫観念と呼ばれています。さて、この強迫観念で頭がいっぱいになり不安が強くなります。この不安をなくすためにはどうしますか?もう一度、鍵のかけ忘れを再確認するでしょう。 そうすることによって不安は一時的に下がりますが、しばらくするとまた不安になり再び確認して確認が何度も続くようになります。このように不安を打ち消すために強迫行為(鍵のかけ忘れの確認)を 何度も行うようになります。この確認行為を何度も行うことによって時間がかかり、疲労困憊してしまい、最後にあきらめることになると思います。不安→強迫行為の悪循環です。 この悪循環をなくすためには・・・・・そうです。強迫行為をやめることです。確認を何度もしないことです。強迫行為をしないと不安が高まることになります 。曝露とはこの不安にさらす(曝す)ことから名づけられています。強迫行為をしない(反応妨害)で不安に曝すことから曝露反応妨害法と命名されています。

強迫神経症の不安の増強

しかし不安に曝すとは「不安に立ち向かえ」と言うことのなのか?・・・不安に立ち向かうことではなく、「不安を受け入れる」ことが大事です。この受け入れがなかなか困難なことです。 ここで大事なことは不安には限度があること、時間とともに不安は弱まっていくという事実です。

 

不安は時間とともに小さくなる

 

上の模式図のように不安に耐えられなくなって強迫行為を行い、不安は一時的におさまりますが、しばらくすると不安が強まり、また強迫行為をくりかえすようになり、強迫行為を何度もくりかえすようになります。

曝露を繰り返すと不安は小さくなる

 

このように曝露をくりかえすと不安は弱まっていきます。 また曝露反応を行う場合は不安の弱い状況から開始することが大事です。(不安階層表を作る)

 

2015年12月03日